島根県松江市生まれ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員を経て、現在、北海道大学大学院生命科学院博士後期課程在学中。研究テーマは「動物の営巣における身体性知能」。原生動物や昆虫の巣作りにおける巧みな身体使い、身体拡張装置としての巣の機能を探究している。論考に「粘菌の環世界―ユクスキュルが捉えた、粘菌の二つの存在様式」(雑誌『ユリイカ』2022年5月号 特集=菌類の世界、青土社)など。
私は自然界にある「動物の巣」に興味を持って研究しています。動物が巣をつくるには、限られた資源(自分の身体、周囲の材料)によって、機能的な構造物を構築しなければなりません。動物は、変化の激しい自然界で、ある種の最適化問題を解いているのです。研究の対象にしているコバントビケラの幼虫は、落ち葉を楕円形に切り取り、筒状の巣をつくります。落ち葉の形状や状態はさまざまで、切り取るのは大変なはずです。しかしうまくやってみせる。暗いところで巣作りしても問題ありません。ここには我々の知らない「知」や「技」があるかもしれない。そんな気持ちで毎日コバントビケラ幼虫と向き合っています。コバントビケラ幼虫はどんな世界を見ているのでしょう。はたまた東川町にはどんな動物の建築学が潜在しているのでしょう。以上のようなことをぜひ一緒に考えてみませんか?